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ゼノホルミーシス仮説って何だ!?

めざせスーパーヘルス 目指せ!スーパーヘルス

ゼノホルミーシス仮説って何だ!?

さて、今日はアンチエイジングメディスンという
日本抗加齢医学会の学会誌からの抜粋。

当学会の重鎮(?)、慶応大学医学部眼科の坪田先生は
学会でもセミナーでもパワフルで面白い講義をされていますが、
また書くものも面白いし、ためになるんですね。

今日はそんな坪田先生の
「ブドウはアンチエイジングのために
 親切でレスベラトロールを作ってくれているのか?」の
一部を紹介いたします。
題名のゼノホルミーシスという舌を噛みそうな仮説も
文中に出てきますので、要チェックですよ!

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植物と動物の関係をよーく考えてみる

アンチエイジングジャーナルでも毎号話題になっているレスベラトロール。
体によい成分として一般にもしられるようになってきた。
本雑誌(アンチエイジングメディスン)の読者の方であれば、
「長寿遺伝子サーチュインを活性化するポリフェノールでしょ。
もうこれについてはプロですよ!」
という声も聞こえてきそうだ。

しかし、なんとも不思議である。
なんでブドウの中に動物の長寿をもたらず物質が含まれているのか?
ブドウが親切に僕たちのために一生懸命作ってくれているのか?

考えてみるとブドウは動物に食べられて、種が運ばれて
新たな土地で繁殖するという作戦を持っている。
だから「このブドウは健康にいいですよ!
レスベラトロールがたくさん含まれているのでたくさん食べてください!
そして遠くに行ってたくさん健康的なウンチをしてくださいね」
という作戦はありえないことではない。

でも、これだけ情報化がすすんだ人間社会で
「健康にいいから食べましょう」といっても、
すぐに売り上げが伸びてくれるわけではない。

おしさも大事だし、香りも大事、
なかなか将来の健康のためだけにやれることは少ない。
さらに、動物社会では生死を左右するのは、
健康状態というよりも飢餓だったり、
捕食者に食べられてしまったり、怪我だったりする。
健康を売り物に食べてもらうのは難しいかもしれない。

ゼノホルミーシス仮説

レスベラトロールがサーチュインを活性化することを発見した
デビッド・シンクレア先生たちが最近おもしろい仮説を発表している。
それはゼノホルミーシス(xenohormesis hypothesis)仮説と
呼ばれるものだ。

もともとレスベラトロールはストレスに応答して作られる。
食べ物が少ないCR(カロリーリストリクション:カロリー制限)の
ような状態(飢餓ストレス)で生態を適応させるためにある物質なのだ。

食べ物が少ないとはどういうことか?
それは植物が少ないことに他ならない。
冬になって日射時間が減り、気温が下がると食べ物は減ってくる。
逆に春になって日射時間が増え、気温が上がると食べ物が豊富になる。

生き物が炭素を基にした物質からできていると考えると、
炭素を太陽エネルギーによって直接使いこなせる
autotrophs(独立栄養体:植物みたいに光合成できる)
heterotrophs(捕食者:有機栄養生物と訳される 動物に寄生するカビなど)
に分けられる。

実は、autotrophsが飢餓にさらされているという情報を、
レスベラトロールを介してheterotrophsが認識しているのではないか!?
というのである。

すると、実際には今食べ物を食べることができているんだけど、
レスベラトロールが多く含まれるものを食べることによって
動物たちは"そろそろ飢餓がやってきそうだ。
ちょっと体調を整えなくちゃいけない"と認識する・・・
という具合である。

こうやって動物の中においても、
レスベラトロールは外科医の飢餓状態をモニターする
一つの情報として使われていく、というわけだ。
だからブドウがサービスで僕たちに作ってくれているわけじゃなくて、
自分たちのためにストレス応答をしているのだけれど、
それを僕たち動物が情報として使っているというのだ。
これによって本当の飢餓がくる前にそろそろやばいということが
分かってくる、というわけである。

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どうでしたか?ゼノホルミーシス仮説。
ほほ~う、と納得してしまいますよね。
ブドウのレスベラトロールが
飢餓が来るというのを捕食者である私たちに教えてくれている、
飢餓が来てもよいような体のシステム(低燃費)にしてくれる
っていうことなんですね、この仮説は。

また、坪田先生の話の続きに「長生きおまけ説」というのもあります。
これもまた興味深い!
成長を阻害する物質はエイジングも阻害するというという仮説。
どうぞこの内容が気になる方はアンチエイジングメディスンを
購入して読んでくださいね。

長生きおまけ説の中にちょろっとペニシリンが出てくるのですが、
そういえば高視聴率をたたき出したドラマ「仁」では
主人公のお医者さんが江戸時代でペニシリンを作っていましたよね。
私はそれを見ていたときに、
原理を知っていてもそんなもん作れるか~!と思ってしまいました。
どんなもんなんでしょうね。